【土地活用】工場の定義と工場設置の特徴と注意点

土地活用コラム

土地活用【貸工場】


前回のコラムでは倉庫の種類と特徴についてご紹介しました。

倉庫や工場経営として土地活用を検討される方もいらっしゃると思いますが、

「倉庫」と「工場」の違いはご存じでしょうか。


今回は①工場の定義、②貸倉庫と貸工場の違い、③貸倉庫を工場として使用する際

の条件、④貸工場として土地活用を行う際の特徴や注意点、以上4点について

ご紹介します。




*目次*




1. 建築基準法上の工場


土地活用【貸工場】

「工場」というワードを聞いて、主に製造や金属、食品等の加工として使われる

建物を連想される方が多いのではないでしょうか。


建築基準法でいう工場の定義の範囲はさらに広がり、「物品等の製造、加工、

仕上げ、包装、荷造り等」の作業を継続的に行うものです。


人や機械により手が加わり、状態が物質的に変化する場合は、工場の定義に該当する

可能性が高いです。

ただし、工場の定義に関しては特定行政庁によって定義等判断基準が異なる場合が

ありますので、特定行政庁に確認する必要があります。


2.倉庫と工場の違い


土地活用【貸工場】

倉庫と工場の違いを下記にまとめました。

倉庫・保管のみを目的に使用する物件

・資機材/商品/在庫の保管

工場
・物質的な変化を加えられる作業を継続的に行う物件

・食品/製品の製造作業・機械加工/組み立て作業・板金塗装作業


なかには倉庫使用だけでなく、工場として使用できる物件もあります。


現状は保管目的のみで使用されている倉庫でも、貸主の使用許可を得られれば

軽作業を伴う工場使用が可能になったり、検査済証があれば行政への用途変更等

により本格的な工場利用が可能になることもあります。


3.倉庫を工場として使用するケース


土地活用として工場か倉庫のどちらを建築するか迷った場合でも、倉庫を工場として

利用出来る場合はありますが、その際にも以下の様な規制を考慮する必要があります。

3-1.用途地域


まずは所有地の用途地域が工場設置に適した土地でないと工場の建築はできません。


用途地域とは、都市計画法に基づきエリアごとに定められるもので、建設できる

建物の種類は用途地域により種類が指定されています。


※詳しくは土地活用コラム

【用途地域とは?土地活用を始める前に知っておきたい都市計画法】

をご参照ください。


工場の建設できる用途地域は下記の表になります。


一種
住居
専用
地域

二種
住居
専用
地域

住居
地域
田園
住居
地域
近隣
商業
地域
商業
地域

工業
地域
工業
地域

工業
専用
地域
危険性
や環境
を悪化
させる
恐れが
非常に
少ない
工場
※1※1※1※3※2※2
危険性
や環境
を悪化
させる
恐れが
少ない
工場
××××※2※2
危険性
や環境
を悪化
させる
恐れが
やや多
い工場
××××××
危険性
が大き
いかま
たは著
しく環
境を悪
化させ
る恐れ
がある
工場
×××××××


※1:作業場の床面積が50㎡以下
※2:作業場の面積が150㎡以下
※3:農産物に限る


3-2.建築基準法


所有地の用途地域上、工場建設の条件に合っていたとしても、その土地の中で

自由に面積を決めて建物が建てられるというわけではありません。


建築基準法は無秩序な建設を防ぐため、建物の建蔽率や容積率、建物の高さなど

様々な規制があり、それらを守る必要があります。

建ぺい率・敷地面積内の建物が建っている部分の面積の占める割合
容積率・敷地面積に対する延べ床面積の割合



3-3.工場立地法


工場立地法とは、工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行われることを目的と

しています。


生産施設、緑地及び環境施設ぞれぞれの敷地面積に対する割合を定めたもので、

環境保全のために一定割合以上の緑地を整備することが義務付けられています。

ただし、「工場立地法」は全ての工場において適用されるのではなく、以下の

2つの条件両方に該当する工場が対象となります。

業種・製造業、電気・ガス・熱供給業(水力・地熱発電所・太陽光発電所は除く)
規模・敷地面積:9,000㎡以上または建築面積:3,000㎡以上


上記の2点に該当する工場を①新設、増設や用途変更をする場合、②生産品や建築面積・

緑地面積を変更、または環境施設を設置する場合、各自治体に届け出をする必要が

あります。



3-4.オーナー様の意向


上記のような条件において、工場としての要件を満たしている物件であっても

所有者の意向により用途を制限することは可能です。


4.土地活用として工場を設置する特徴


土地活用【貸工場】

土地活用として工場を設営する際の特徴を見ていきましょう。


4-1.長期的な利用が見込まれる


工場の借り手が事業者ということや、短期での引っ越しには設備や費用にコストが

かかってしまうため、比較的5~10年単位の長期的な利用が見込まれることなどから、

安定した収益に繋がりやすいです。


4-2.賃料の滞納リスク


工場や倉庫は賃貸アパートやマンション経営等の居住用に比べ、

借り手が企業ということもあり、家賃滞納のリスクが低いというメリットがあります。


4-3.建築費のコスト


工場は居住用施設のように各戸にキッチンやお風呂を設置する必要はありません。

建物の構造もシンプルなため、建築費を安く抑えることが可能です。


国土交通省の2021年建築物着工統計調査によると、倉庫・工場それぞれの構造別の

工事費予定額を床面積の合計で割った坪単価は、以下のようになります。

木造鉄骨造RC造
工場・作業場約44万円/坪約65万円/坪約97万円/坪
倉庫約31万円/坪約40万円/坪約47万円/坪



4-4.建物価値の下落率


居住用の建物は近隣にある新築等と競争するため、築年数が賃料に大きく影響します。

古くなると借り手がつきにくく、賃料を下げざるを得ないことに起因します。


一方、工場では立地条件や事業上での利便性が求められるため、築年数の影響は

比較的小さいと言えます。


5.工場設営の注意点


土地活用【貸工場】

最後に、工場を土地活用として設営する場合の注意点をご紹介。


5-1.税制メリット


工場を設置する際には居住系の建物に比べると節税対策としてのメリットが

低くなります。例えば、居住系建物には固定資産税の「住宅用地の特例」が

適用されますが、工場では適用外です。


ただし、相続税対策としては居住用賃貸建物と同様に実勢価格(実勢価格の約8割)や

固定資産税評価額(実勢価格の約7割)との乖離から相続税の負担減少は見込めます。


総じて、大きな収益を得ることを目指すというよりは、税金の負担分をまかなうような

イメージで考えておくとよいでしょう。


まとめ


今回は土地活用の方法として「工場」の定義や「倉庫」と「工場」の違い、

倉庫を工場として使用する条件や工場設置の土地活用における特徴・注意点などを

お伝えしました。


工場等の事業用物件は年々需要の高まりを見せており、今後も事業用物件の需要は

続くと予想されます。

幹線道路近くやIC近く、用途上工場・倉庫に適した土地を所有している方には

おすすめの土地活用法です。


実際に利用企業を探したり、手続きを進める際には専門的なノウハウを持った不動産会社

のアドバイスを受けることがおすすめです。


ご相談はセンチュリーダイソーへ


ロジコロ大阪を運営するセンチュリーダイソー(大倉グループ)では、

1973年創立以来培ってきた専門知識を活かし、立地や土地活用方法について

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これまでアパート・マンションはもちろんのこと、倉庫やロードサイド店舗、

駐車場付き建物、駐車場(月極・コインパーキング)、ガレージハウス、

シェアハウス、太陽光発電、保育園等、事業用不動産における

幅広いジャンルの土地活用をサポートさせていただきました。


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